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Live2Dパーツ分けでイラストレーターが気をつける注意点【2026年版】

kitagawatetsuro
こっこちゃんがペンタブで原画のレイヤーを整理しながら描いている図(画面には前髪・後ろ髪などレイヤー名が並ぶ)

Live2D化を前提にイラストを描くとき、絵の完成度とは別の視点で気をつけるべき「パーツ分け」のルールをまとめました。イラストレーターが陥りやすい失敗を中心に、依頼する場合・自分で描く場合どちらにも役立つ内容です。

🎨 Live2D✏️ パーツ分け🖌 イラストレーター向け📐 原画の描き方

✅ 結論:「絵として綺麗」と「動かせる絵」は別の基準

1枚絵として完成度の高いイラストでも、Live2D化を前提にすると描き直しが必要になることがよくあります。理由は単純で、Live2Dは「レイヤーを個別に動かす」ため、絵を描く段階で動かす前提のレイヤー構造・隠れる部分の補完・可動域を見込んだ線を用意しておく必要があるからです。この記事では、イラストレーターが原画を描く時点で意識しておくべき注意点を整理します。

隠れる部分も
描く
レイヤーの
重なり順
可動域と
のりしろ
依頼/自作
のチェック

Live2Dの技術記事の多くは「Cubismでどう設定するか」というソフト操作の話です。しかし実際にモデルを触っていて詰まる原因の半分近くは、その手前の「原画の描き方」に理由があります。パーツ分けの前提を知らずに描かれたイラストは、Cubism側でどれだけ丁寧に設定しても、動かしたときに破綻が出てしまいます。

この記事は、Cubismの操作方法ではなく、ペンを持つ前・レイヤーを分ける段階で気をつけることに絞って解説します。すでにCubismでの設定に踏み込んでいる場合は、パーツの前後関係はLive2Dのパーツが前後関係で隠れる・消える時の直し方、揺れものの設定はLive2Dの物理演算(Physics)の設定を参照してください。

こっこちゃん「絵はちゃんと描けたのに、いざLive2D化しようとしたら『ここ描き直してください』って言われたことあるよ……何がダメだったんだろう」

白い鴉「よくあるパターンです。1枚絵として見えている部分だけを描いていて、口を開けたときに見える歯や、腕を動かしたときに見える脇の下が描かれていない、というケースがほとんどですね」

📋 この記事の要約

Live2D前提のイラストでは、①口の中・目の裏など「動いた時だけ見える部分」も描く、②前髪・後ろ髪・体・服の重なり順をレイヤーの時点で明確にする、③パーツの輪郭を隣接パーツの下に少し伸ばして「のりしろ」を作る、の3点が特に重要です。依頼する場合はこの3点を発注時に伝えるだけで、差し戻しの回数が大きく減ります。

🤔 そもそもなぜパーツ分けが必要なのか

Live2Dは、1枚のイラストを複数のパーツ(レイヤー)に切り分け、それぞれを独立して変形・移動させることで「動いているように見せる」技術です。3Dモデルのように骨格があって全方向に動くわけではなく、あくまで2Dの絵を張り合わせて上下・左右・回転などの限られた動きを組み合わせています。

この仕組み上、パーツの分け方そのものが「どこまで自然に動かせるか」の上限を決めてしまいます。1枚絵の完成度がどれだけ高くても、パーツ分けの設計が甘いと、口を開けた瞬間に不自然な隙間ができたり、首を傾げただけで髪と体の境目が破綻したりします。逆に言えば、パーツ分けさえ正しくできていれば、線画自体はシンプルでも十分に自然な可動域を確保できます。

同じキャラクターの1枚絵とパーツ分けされたレイヤー構造を並べて見せるこっこちゃん

👀 隠れる部分も描く:口の中・目の裏・服の下

1枚絵として描くときは、見えている部分だけを描けば完成します。しかしLive2Dでは、表情や角度が変わった瞬間に「今は見えていない部分」が画面に現れます。これを描き忘れると、口を開けた瞬間に背景が透けて見える、といった事故が起こります。

パーツ動いたときに見える部分描いておくべきもの
口を開けたとき歯・舌・口内の陰影(簡略化でも可、最低限の色は必要)
まばたき・目を細めたときまぶたの厚み、上を向いたときの白目の広がり
前髪顔を傾けたとき前髪の下に隠れているおでこの範囲を広めに
腕・肩腕を上げたとき脇の下、袖の中の腕の続き
服の襟元首を傾げたとき襟の内側、首との境目の余白

まばたきについては、実際にCubism側でどう連動させるかをLive2Dのまばたき・リップシンクの作り方で解説しています。原画側でまぶたの厚みや白目の範囲を描いておかないと、この設定をどれだけ丁寧に行っても不自然さが残ってしまうので、あわせて確認しておくと手戻りが減ります。

⚠️ 「見えないから描かない」が一番多い差し戻し理由
1枚絵の感覚が抜けないまま描くと、無意識に「見えている範囲だけ」で筆が止まります。ラフの段階で、口を開けた状態・首を傾げた状態を軽くイメージし、そのとき画面に出てきそうな部分を先に洗い出しておくと描き忘れを防げます。

口を開けた状態を意識しながら歯や口内を描き込んでいるこっこちゃん

📚 レイヤーの重なり順の基本原則

次に重要なのが、レイヤー構造そのものです。Live2Dでは基本的に、次のような重なり順が土台になります。

1後ろ髪

体より奥、背景より手前。首を動かした時に体からはみ出ないよう余白を持たせる。

2体・服

腕・胴体・脚をそれぞれ独立したレイヤーに。関節部分は分割位置を意識する。

3顔まわり(目・眉・口)

表情差分を作る前提で、パーツごとに細かく分離しておく。

4前髪

顔より手前。ふさごとにレイヤーを分けると自然な揺れが付けやすい。

5アクセサリー・小物

リボンや眼鏡など。揺れものにする場合は独立レイヤーが必須。

この順番はあくまで基本形で、キャラクターのデザインによって前後関係が変わる部分もあります。重要なのは「後で変更しやすいように、レイヤー名を最初から分かりやすく付けておく」ことです。「前髪_左」「前髪_右」「前髪_中央」のように命名しておくと、Cubismに持ち込んだあとの作業が大幅に速くなります。パーツ数が多いモデルでレイヤー名が「レイヤー1」「レイヤー2」のままだと、どのパーツがどれか分からなくなり、後工程での混乱の原因になります。

💡 メッシュ編集を見据えた名前付け
Cubism側でのメッシュ編集・グルー設定についてはLive2Dのメッシュ編集とグルー機能で解説していますが、この工程は原画側のレイヤーがきちんと整理されているほどスムーズに進みます。逆に名前がバラバラだと、この段階で何倍も時間がかかります。

レイヤーパネルに「前髪_左」「前髪_右」など整理された名前が並ぶ様子を指し示すこっこちゃん

📐 可動域と「のりしろ」:パーツは少し伸ばして描く

パーツ同士の境目をぴったり合わせて描いてしまうと、動かしたときにわずかな隙間が生まれ、そこから背景や下のレイヤーが透けて見えてしまいます。これを防ぐために、隣接するパーツの下に少しだけ重なるよう、輪郭を伸ばして描く「のりしろ」の考え方が重要です。

  • 1髪の毛の先端は、体のレイヤーの下に少し潜り込むように描く(動いたときに切れ目が見えないように)
  • 2腕の付け根は、肩のパーツの下に十分な範囲を描いておく(回転させても隙間ができない)
  • 3まぶたは、閉じたときに完全に覆えるサイズで、目のパーツより一回り大きく描く

このとき、はみ出した部分は最終的にマスクで隠すことになるため、「多少描きすぎるくらいでちょうど良い」と考えておくと安全です。逆に足りない場合は、動かすたびに隙間が目立ち、あとから描き足す手戻りが発生します。

パーツの輪郭がのりしろ状に隣のパーツの下へ潜り込んでいる様子を拡大して見せる図解

😵 イラストレーターが陥りやすい失敗3つ

1線を完全に閉じすぎる

1枚絵の感覚で輪郭線をきっちり閉じてしまうと、パーツ分けの際に境界線が「絵の一部」として固定され、動かしたときに不自然な線が浮く。パーツの境目になる部分は、あえて開放して塗りで表現するほうが扱いやすい。

2陰影を描き込みすぎる

固定された1枚絵としては美しい陰影も、パーツごとに独立して動くと、陰影の向きが不自然にずれる。強い陰影は別レイヤー化して、動きに応じて調整できるようにしておくと破綻しにくい。

3パーツを分けすぎる・分けなさすぎる

細かく分けすぎると管理が煩雑になり、逆に分けなさすぎると可動域が制限される。まずは基本の重なり順(後ろ髪・体・顔まわり・前髪・小物)を軸に、必要な部分だけ追加で分割するのが現実的。

⚠️ 「綺麗に描けた」が裏目に出ることもある
1枚絵として評価される描き方と、Live2D向けの描き方は評価軸が異なります。Live2D化を前提にする場合は、完成度よりも先に「これは動かしたときにどう見えるか」を一度想像してから筆を進める癖をつけると、手戻りが大きく減ります。

🤝 依頼する場合/自分で描く場合のチェックポイント

自分でイラストとLive2D化の両方を行う場合は、上記の注意点を意識しながら描き進めれば問題ありません。一方、イラストだけを外部に依頼し、Live2D化は別で行う(またはその逆)場合は、発注段階での認識合わせが特に重要になります。

  • 「Live2D化前提」であることを発注時に必ず明記する(1枚絵の依頼と伝えてしまうと、レイヤー分けなしで納品されることがある)
  • 口の中・まぶたの厚みなど「隠れる部分」も描いてもらうよう具体的に伝える
  • レイヤー名の命名規則(前髪_左、など)を先に共有しておく
  • 納品データの形式(PSD、レイヤー分け済みか統合済みか)を事前に確認する

実際の発注文の書き方や予算感、著作権まわりの注意点はVTuber立ち絵の依頼方法で詳しくまとめています。イラストを描く側・依頼する側どちらの立場でも、事前にこの記事のようなチェックリストを共有しておくことで、後工程の差し戻しを大幅に減らせます。

❓ よくある質問

すでに描いてしまった1枚絵をLive2D化することはできますか?

できないわけではありませんが、パーツ分け前提で描かれていない絵は、隠れる部分の描き足しやレイヤー分割を後から行うことになり、最初からLive2D前提で描くより手間がかかります。可能であれば、Live2D化を決めた時点でラフから描き直すほうが結果的に早く済むケースが多いです。

初めてでも自分でパーツ分けできますか?

基本の重なり順(後ろ髪・体・顔まわり・前髪・小物)さえ押さえれば、シンプルなデザインのキャラクターであれば十分に自分で対応できます。複雑な衣装やアクセサリーが多いデザインの場合は、経験者に一度チェックしてもらうと安心です。

パーツ分けとCubismでの設定、どちらが難しいですか?

感覚には個人差がありますが、パーツ分けは「絵を描く技術」の延長で対応できる一方、Cubismでの設定は「別のソフトの操作を覚える」必要があるため、慣れるまでの学習コストは設定作業側のほうが大きく感じられることが多いです。まずはCubismでのモデル制作の全体像をLive2DでVTuberモデルの作り方で確認しておくと、パーツ分けの時点で何を意識すべきかがより具体的にイメージできます。

こっこちゃん「パーツ分けって、結局『動かすことを想像しながら描く』ってことなんだね」

白い鴉「その通りです。1枚絵として完成させてから分割するのではなく、最初から『これは動くパーツだ』と意識しながら描くと、後の工程が驚くほど楽になりますよ」

🌱 まとめ

整理されたレイヤー構造の原画を前に満足そうに微笑むこっこちゃん

Live2D前提のイラストで気をつけるべきは、絵としての完成度とは別軸にある「動かしたときにどう見えるか」という視点です。口の中やまぶたの厚みなど隠れる部分を描いておくこと、前髪・後ろ髪・体・服の重なり順をレイヤーの段階で明確にしておくこと、パーツの輪郭にのりしろを持たせておくこと。この3点を押さえるだけで、Cubismでの設定作業が大きく楽になります。

自分で描いてそのまま自分で動かす場合はもちろん、イラストとモデリングを分業する場合も、この記事のチェックポイントを発注前に共有しておくことで、差し戻しの少ない制作フローが作れます。

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