After Effectsのパペットツールの使い方【2026年版】イラストを自然に動かすピンの打ち方

After Effectsのパペットツールを使って、1枚のイラストや写真を動かす方法を解説します。ピンを打って動かす基本手順から、5種類のピンの使い分け、そして「動かしたら絵が崩れる」原因になるメッシュの設定、動きを録音するように作れるパペットスケッチまでまとめました。描いた絵を自分で動かしたい方向けの内容です。
- パペットツールで何ができるのか
- 動かしやすいイラストの準備の仕方
- ピンを打って動かす基本の手順
- 5種類のピンの違いと使い分け
- 絵が崩れる・不自然になる時の直し方
イラストを描いたあと、「これがちょっとでも動いたら楽しいのに」と思ったことはないでしょうか。After Effectsのパペットツールは、まさにそれを叶える機能です。
やることは単純で、絵の上にピン(画びょう)を刺して、そのピンを動かすだけ。すると絵そのものがゴムのように変形して、腕が振れたり髪が揺れたりします。レイヤーを分けて描き直す必要はありません。1枚絵のままで動かせます。
この記事では、基本の使い方に加えて「動かしたら絵が変な形に崩れる」という最初の壁をどう越えるかまで解説します。
🎨 パペットツールとは何か
パペットツールは、レイヤーの絵に見えないメッシュ(三角形の網)を張り、そのメッシュを引っぱって絵を変形させる機能です。名前のとおり、あやつり人形(パペット)を糸で動かすイメージです。

できることの例を挙げると、こんな動きです。
- キャラクターが手を振る、腕を上げる
- 髪や服のすそが揺れる
- 植物や旗が風でなびく
- 体がゆっくり伸縮して呼吸しているように見せる
- 写真の中の人物や物を少しだけ動かす
逆に向いていないのは、大きく振り向く、走る、真横を向くといった動きです。パペットツールは平面の絵を伸ばしたり曲げたりするだけなので、見えていない部分(後頭部や反対側の腕)は作れません。「今見えている絵を、少し動かす」のが得意分野だと考えてください。
📁 準備:動かしやすい絵を用意する
いきなりピンを打っても構いませんが、ひと手間かけると仕上がりが段違いになります。
- 背景を透過したPNGで書き出す(背景が付いていると背景ごと歪みます)
- 動かしたいパーツが他のパーツと重なっていないほうが素直に動く
- 腕や髪など大きく動かす部分は別レイヤーに分けておくと自由度が上がる
- 絵の周囲に少し余白を残す(ぎりぎりだと変形時に切れます)
とはいえ、最初は1枚の透過PNGで十分です。分けるほど自然になりますが、そのぶん手間も増えます。まず1枚で試して、物足りなくなったら分ける、という順番がおすすめです。
📌 基本手順:ピンを打って動かす
ここが本題です。手を振る動きを例に進めます。

- タイムラインで動かしたいレイヤーを選択する
- ツールバーからパペット位置ピンツールを選ぶ(画びょうのアイコン。ショートカットは Ctrl+P / Mac は ⌘+P)
- コンポジション画面で、動かしたい場所と、動かしたくない場所にピンを打つ
- 時間インジケーターを先の時間に移動させる
- ピンをドラッグして動かす。これだけでキーフレームが自動で打たれます
- 再生して確認する
ポイントは3の「動かしたくない場所にもピンを打つ」ところです。ピンを打った場所は固定されるので、足元や体の中心にピンを打っておかないと、腕を動かしたときに体ごと引っぱられてしまいます。
ピンを打つ場所の目安
基本は関節です。人体なら肩・ひじ・手首、といった曲がるところに打ちます。そして動きの起点になる場所(腰や足元)を固定用に打つと安定します。
数は少なめから始めるのが正解です。いきなり10個も打つと、どのピンがどこに効いているか分からなくなります。まずは3〜4個で試して、足りない部分に足していってください。
🔧 5種類のピンの使い分け
パペットツールのピンは1種類ではありません。5種類あり、役割が違います。ここを知っておくと表現の幅がぐっと広がります。

| ピンの種類 | 何をするか | 使いどころ |
|---|---|---|
| 位置ピン | 打った場所を移動させる(基本のピン) | まずこれだけでOK。手足を動かす |
| スターチピン | 周囲を硬くして、他のピンの影響を受けにくくする | 曲がってほしくない部分(胴体、持っている棒など) |
| 曲げピン | ピン周辺を回転・拡大縮小させる | 腕をひねる、パーツを大きくする |
| 詳細ピン | 位置・回転・スケールをまとめて操作できる | 細かく作り込みたい時。操作はやや複雑 |
| オーバーラップピン | 絵が重なった時の前後関係を決める | 腕を体の前に出す/後ろに回す |
最初に覚えるのは2つだけ
残りの3つは、慣れてきて「もう少し細かく制御したい」と思った時に使えば十分です。ピンの種類は打ったあとでもタイムラインパネルから変更できるので、迷ったらまず位置ピンで打ってしまって構いません。
🩹 絵が崩れる・不自然になる時の直し方
パペットツールで最初にぶつかる壁がこれです。ピンを動かしたら、関係ない部分まで引っぱられて絵が破綻する。原因はいくつかに分けられます。

原因1:固定用のピンが足りない
いちばん多い原因です。動かしたい場所にだけピンを打つと、絵全体がその動きに引っぱられます。体の中心・足元・動かさないパーツに固定用のピンを追加してください。
原因2:曲がってほしくない部分が曲がっている
胴体や、キャラクターが持っている小物が波打つ場合は、スターチピンをその部分に打ちます。周囲が硬くなって、変形が及ばなくなります。
原因3:メッシュが粗い
パペットツールは絵を三角形の網(メッシュ)に分割して変形させます。この三角形が粗いと、変形がカクついたり不自然に折れたりします。
タイムラインでレイヤーを展開し、エフェクト → パペット → メッシュ → 三角形の数を上げると細かくなります。初期値は控えめなので、倍くらいまで上げると滑らかになることがよくあります。ただし数を増やすほど動作は重くなります。
原因4:絵の端が切れている
変形すると絵が元の範囲より外に出ることがあります。同じメッシュの項目にある「拡張」の数値を上げると、メッシュが絵の輪郭より外側まで広がり、端の切れを防げます。
✨ 動きを自然に見せるコツ
ピンが打てて動くようになったら、次は「機械的に見える動き」を自然にする段階です。
- 動きの終わりを少し遅らせる。腕を振ったら、髪が一瞬あとから追いつくようにキーフレームをずらす
- 行きと帰りで同じ位置に戻さない。わずかにずらすと生き物らしくなります
- イージングをかける。等速だとロボットのような動きになります
- 動きを小さくする。初心者は動かしすぎる傾向があります。思ったより控えめが自然
特に効くのはイージングです。キーフレームを選んで F9 を押すだけでも印象が変わります。
🎬 パペットスケッチで動きを録る
キーフレームを1つずつ置くのではなく、マウスで動かした軌跡をそのまま記録する方法もあります。パペットスケッチです。
- ピンを打った状態で、Ctrl(Mac は ⌘)を押しながらピンにカーソルを合わせる
- カーソルがストップウォッチの形に変わる
- そのままドラッグして動かすと、動きがリアルタイムで記録される
- 離すと、その軌跡がキーフレームになる
手描きの気持ちよさがそのまま入るので、髪の揺れや、ゆらゆらした自然な動きに向いています。ただしキーフレームが大量に打たれるため、あとから微調整しにくいという弱点もあります。
使い分けとしては、きっちり作りたい動きはキーフレーム、雰囲気重視の揺れはパペットスケッチと考えるとよいでしょう。
💡 VTuber・配信素材での使いどころ
1枚のイラストを動かせるという特性は、配信素材づくりと相性が良いです。
- 待機画面:キャラクターがゆらゆら揺れているだけで画面が生きます
- 配信開始・終了のアニメ:手を振る動きを2〜3秒で作る
- SNS投稿用:静止画イラストを短い動画にして投稿する
- サムネイルの動く版:Shorts冒頭の掴みに使う
特に待機画面はループさせる前提なので、始まりと終わりを同じポーズにしておくと自然につながります。
🤔 Live2Dとどう違うのか
「イラストを動かす」と聞くとLive2Dを思い浮かべる方も多いので、違いを整理しておきます。
| 項目 | パペットツール(AE) | Live2D |
|---|---|---|
| 用途 | 決まった動きの動画を作る | リアルタイムで動かし続ける |
| 準備 | 1枚絵でも可 | パーツを細かく分ける必要あり |
| 手間 | 数十分〜 | 数日〜 |
| 向くもの | OP・待機画面・SNS動画 | 配信で自分の分身として使う |
つまり競合するものではありません。配信で喋る分身はLive2D、動画素材はパペットツール、という住み分けになります。まず手軽に動かしてみたいならパペットツールのほうが圧倒的に早いです。
📚 参考にした情報
🌱 まとめ

- パペットツールは1枚絵にピンを刺して動かす機能
- 動かす場所より、固定する場所を先に決める
- ピンは5種類あるが、まずは位置ピンとスターチピンの2つで足りる
- 崩れる時は固定ピンを足す・三角形の数を上げる
- 動きは控えめ+イージングで一気に自然になる
描いた絵が動くと、それだけで作品の印象が変わります。まずは手を振るだけの2秒の動きから試してみてください。ピンを3つ打って動かすだけなら、10分もかかりません。
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